採用の損益分岐計算機

1人採用したときにいくら売上を増やせば元が取れるかを、粗利率から逆算します。人件費は「売上」ではなく粗利から回収するため、必要な売上高は人件費よりずっと大きくなります。戦力化までの先行負担もあわせて試算します。

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人件費は「売上」ではなく「粗利」から出る

必要な追加売上高 =(年間人件費総額 + その他固定費)÷ 粗利率

採用を検討するとき「年収500万円の人を雇う」と考えますが、必要になる売上はその何倍にもなります。人件費を払う原資は売上から原価を引いた粗利だからです。

粗利率40%なら、年間コスト500万円を回収するのに必要な売上は 500万 ÷ 0.4=1,250万円。粗利率20%の事業なら2,500万円必要になります。同じ人を雇っても、事業の粗利率によって必要な売上は倍以上変わります。

年収だけで判断すると足りない項目

「年間人件費総額」には、額面の給与以外にも会社が負担する費用が含まれます。入力前に、以下が漏れていないか確認してください。

戦力化までの先行負担

先行負担 = 月あたりコスト × 戦力化までの月数

採用した人が売上に貢献し始めるまでには時間がかかります。その間もコストは発生するため、利益が出る前に現金が先に出ていきます。戦力化に3ヶ月かかるなら、3ヶ月分のコストは持ち出しです。初年度で回収するなら、残り9ヶ月でより多くの売上が必要になります。

この先行負担に手元資金が耐えられるかは、キャッシュフロー予測で月次の資金繰りとして確認してください。

判断の前に見ておきたい指標

  1. 労働分配率:採用後に人件費が付加価値のどれだけを占めるか。労働分配率計算機で採用後の水準を試算できます
  2. 外注との比較:同じ業務を外注した場合の年間コストと比べる。固定費(採用)と変動費(外注)では、売上が落ちたときのリスクが根本的に違います
  3. 損益分岐点の上昇:固定費が増えると損益分岐点も上がります。損益分岐点計算機で採用後の必要売上を確認してください
※ご注意:本ツールは入力された金額のみを用いた試算で、給与額や社会保険料の計算は行いません。人件費総額はご自身で把握された金額をご入力ください。社会保険・労働保険の料率や手続き、雇用契約・就業規則については社会保険労務士等の専門家に、税務上の取り扱いについては税理士にご相談ください。また本試算は「採用した人が新たに売上を生む」前提です。既存業務の負荷軽減が目的の採用では、削減できる残業代・機会損失の回復分を効果として別途評価する必要があります。

よくある質問

人件費の何倍の売上が必要というのが一般的ですか?
粗利率で決まるため、一律の倍率はありません。その他固定費を0とした場合、必要な売上は人件費の1 ÷ 粗利率倍になります。粗利率50%なら2倍、40%なら2.5倍、25%なら4倍。「人件費の3倍稼げ」という言い方をよく聞きますが、これは粗利率33%の事業を前提にした数字にすぎません。なお本ツールが表示する「人件費に対する売上倍率」は、その他固定費も回収対象に含めた (人件費 + その他固定費) ÷ 粗利率 ÷ 人件費 で計算しているため、その他固定費を入力すると 1 ÷ 粗利率 より大きくなります。
粗利率がわからない場合は?
売上から原価(仕入・材料費・外注費など売上に比例するコスト)を引いた額を売上で割ります。粗利率・営業利益率分析で売上・原価・販管費から算出できます。なお、この計算では既存の人件費を原価に含めないでください(含めると二重計上になります)。
バックオフィスなど、直接売上を生まない職種はどう考えますか?
本ツールの「必要な追加売上高」は、直接売上を生む職種向けの見方です。間接部門の場合は、(1) 既存メンバーが事務作業から解放されて生む追加売上、(2) 削減できる外注費・残業代、(3) ミス削減による損失回避、を効果として金額換算し、それが年間コスト増を上回るかで判断します。効果が売上ではなくコスト削減で出る場合は、削減額がそのまま利益なので、粗利率で割る必要はありません。
採用と外注、どちらが得ですか?
金額だけでなくリスクの性質が違います。採用は固定費で、売上が落ちても支払いが続きます。外注は変動費に近く、業務量に応じて調整できます。一方、外注は単価が高くなりがちで、ノウハウが社内に残りにくい面があります。売上の変動が大きい事業や、業務量が読めない立ち上げ期は外注から始め、稼働が安定してから採用に切り替える判断がよく取られます。
戦力化までの期間はどう見積もればいいですか?
職種と採用形態によります。実績としてわかっているなら過去の採用時の実績値を、初めてなら悲観的な想定(長め)で入れて、先行負担に資金が耐えるかを確認するのが安全です。本ツールでは戦力化までのコストを全額先行負担として計上し、初年度は残りの月数で年間コストを回収する前提で月あたり必要売上を出しています。
複数人まとめて採用する場合は?
人件費総額の欄に採用予定者全員の合計額を入力してください。その他固定費も人数分を合算します。ただし複数人を同時に採用すると先行負担が一度に膨らむため、資金繰りへの影響はキャッシュフロー予測運転資金・CCC計算機で別途確認することをおすすめします。

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